漆喰を構成する素材 3
ホームページをご覧いただきありがとうございます。
心地よい秋風が吹き抜けるようになってきましたね。
京都で京町屋・数寄屋建築を中心に広く左官工事を行っている「中須左官店」です。
前々回に引き続き漆喰を構成する素材についてご説明したいと思います。
今回は左官業には欠かせない「糊」についてです。
糊は日本独特の左官材料であり、中国にはあったとされていますが、
西洋の文化には存在していませんでした。
奈良時代には米粥が使用されていましたが、江戸時代から海藻を煮た液体が使用されるようになったといわれています。
米粥よりも安価であることから広く親しまれ、今でも漆喰の材料には欠かせないものとなっています。
糊を土に混ぜる主な目的は、材料の伸びを良くし、作業効率を上げること、
塗り付ける材料自体の水持ちを良くすることにあります。
水持ちが悪いとすぐ乾いたり、下地に水分を奪われてしまい鏝を使用した作業時間が
短くなってしまいます。
みなさまなら糊を使用するのは、壁を固めたり、強くするためではないか?
と思われるかもしれません。
しかし、漆喰を固めるのは石灰の役目であり、糊の効果は上記の内容だけであります。
ただ、高松塚古墳などの漆喰には海藻の胞子が今もなお見られることから、
丈夫さに関与していないとは言い切れない事実もあります。
最近では海藻糊を蒸気浴させ乾燥・粉砕した粉ツノマタや合成化学糊もよく使用されています。
次々回は漆喰を構成する素材最後の弾で「スサ」についてご説明したいと思います。
ぜひお楽しみください。
中須左官店
京都府京都市中京区壬生高樋町65-58
事務所TEL:075-312-4656
2020.10.10